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非配偶者間人工授精の現状に関する調査研究会(DI研究会)

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活動の記録:講演会報告
子どもが語り始めたAID非配偶者人工授精

2003/12/14   
 2003年12月14日、非配偶者間人工授精(AID)で生まれたオーストラリアのジェラルディン・ヒューイットさんと不妊カウンセラーのジェニー・ブラッドさんが「親・子ども・提供者の視点から考えるAID」と題して後援を行なった。AIDによって生まれた人が実名で講演したのは日本で初めてといわれる。(主催は「非配偶者間人工授精の現状に関する調査研究会」)


子どもが語り始めたAID 非配偶者人工授精

ジェラルディン・ヒューイットさんと不妊カウンセラーのジェニー・ブラッドさん

 AIDとは、夫以外の男性の精子を用いた人工授精のこと。日本でも50年以上前から実施され、1万人を超える人が生まれているといわれる。しかし、いわば水面下で行なわれてきたため、当事者への情報提供も、精神的ケアもなく、また当事者も口を閉ざしてきた。にもかかわらず、精子だけでなく、卵や胚の提供も認め、生まれた子に出自を知る権利を認める方向で現在、法整備が検討されている。
 私たちは法整備の前に、まず必要なのは当事者の現状を知ることだと考え、非配偶者間人工授精の現状に関する調査研究会を立ち上げ、AID当事者への聞き取り調査を始めることにした。その一環としての講演会だった。

 オーストラリア・ヴィクトリア州では体外受精やAIDを受ける場合、カップルも提供者もカウンセリングを受けることが義務づけられている。ジェニファーさんはこのカウンセリングとは情報提供のためのものではなく、意思を決定するためだという。
 不妊のカップルは喪失感、感情の揺れ、孤立感などさまざまなプレッシャーを抱えている、その危機を手助けするものであり、生まれた子どもを含め、その後のサポートもする。また提供者に対してもおこりうる問題を想定し、意思を確認する(場合によっては提供者には向かないという判断もするという)。
 また同州では1995年の法改正で、18歳になると、提供者を特定できる情報を知ることが可能になった。あくまでカウンセラーは両親の決定を尊重し、サポートするものだとしながら、ジェニファーさんは生まれた子どもには知る権利があり、子どもにAIDで生まれたことを伝えるのは早い方がよいと、調査結果を上げながら話した。親が子どもに告知するための本などが作られており、それらも充実させるべきだし、当事者のサポートグループ、社会の理解も必要だと訴えた。

 ジェラルディンさんは現在20歳の大学生。5歳のとき両親からAIDで生まれたことを伝えられた。そのとき彼女は両親を抱きしめた。子ども心にその必要があると思ったからだ。その後も両親が彼女を全面的に支えてくれたから、自分はこうして公の場で話すことができるという。
 彼女が住んでいるニュー・サウス・ウェールズ州では出自を知る権利が認められていないため、提供者探しは難航している。ジェラルディンさんは、提供者を探すことは自分の父親を探しているのでも、新しい父親と今の父親を置き換えようとしているのでもなく、個人としてのアイデンティティーを完成させるためだという。そして、子どもの立場から親たちに真実を告げて欲しいと語った。

 日本国内でも私たちはAIDで生まれた人にインタビューしている。彼女/彼らたちは偶然知ってしまったケースであり、誰もが長い間両親が隠していたことにショックを受け、提供者を知りたがっている。しかし、これも父親探しではなく、自分のアイデンティティーを知りたいからだという。そして皆、誰一人同じ境遇の人を知らず、孤独に悩んできた。

 親たちも含め、日本では当事者が声を上げる現状ではない。それぞれが孤立し、悩んでいる。
 私たちの取り組みにより、当事者の自助グループが組織化され、当事者がエンパワメントされることの一助となればうれしい。

(長沖暁子/『ふぇみん』2004年1月25日号より転載)

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